平成20年度の本県観光は、前半は好調に推移したものの、後半の11月以降は、米国における金融危機に端を発した世界同時不況の影響を受け、国内的にも「百年に一度の経済危機」と言われる深刻な景気後退に陥り、円高やウォン安も相まって全体として本県への旅行需要・旅行マインドの冷え込みから、苦戦を強いられたところであります。
しかし、全国的に観光市場が落ち込みを見せる中、本県観光は、国や県、観光・リゾート関連業界の皆さまをはじめとする官民一体となった取組みの結果、入域観光客数は、過去最高の伸びを記録しているところにあります。
この進展を支えた要素の一つは、年度前半における修学旅行や国内一般旅行者の底堅い“沖縄人気”と外国人観光客の増加であります。
二つには、知事の政策課題である観光誘客一千万人(うち、外国から百万人)を目指す「平成20年度ビジットおきなわ計画」に基づく、誘客プロモーション事業をはじめとする諸観光振興事業の実施など、幅広い新規マーケットへの実効性ある旺盛な誘客キャンペーンの展開が上げられます。
三つには、年度前半における燃油サーチャージの高騰による海外旅行から沖縄旅行へのシフトや航空会社の座席提供数の増加、国内路線の新規開設(名古屋⇔石垣、福岡⇔那覇)や増便、韓国からの定期便増便、香港からの新規航空路線開設による定期便の運航などによる航空輸送能力の向上、台湾からのクルーズ船の運航開始時期が早まり海路客が増加した等の好材料も大きな後押しになったものと捉えております。
四つには、県内ホテル等新規宿泊施設の増加、プロ野球キャンプを始めとする各種スポーツコンベンションやリゾートウエディングの順調な推移などのプラス要因も大きく功を奏しているものと認識しております。
この結果、入域観光客数は、過去最高の593万人(対前年度比0.7%増)となり、中でも外国人観光客数は、対前年度比で25.5%(48,200人)増の237千人の過去最高を記録しているところです。
このように、本県の観光・リゾート関連産業は、県内景気の回復を底堅く支える総合産業としての役割を担い、県経済の成長・発展に大きな貢献を果たしております。
このことから、本県観光・リゾート産業には、引き続き県経済全体を牽引していくことが強く求められており、その持続的発展の揺るぎない基盤づくりと安定的進展の確保は、県経済の自立化へ向けてますます重要となってまいります。
このような中、財団法人沖縄観光コンベンションビューローでは、旅行市場への適切な対応と多様化する旅行者ニーズに的確に応えるべく、「通年・滞在型の質の高い観光・リゾート地の形成」の実現に向け、観光地・観光施設における「安心・安全・快適」の確保や促進、観光人材の育成など受入体制の整備・拡充に取組むとともに、国内外における戦略的誘客キャンペーン事業等の展開による本県観光・リゾートのイメージアップと旅行需要の喚起促進やMICEの開催支援、観光情報の発信、国外・県外事務所の運営等を実施してきたところです。
これらの、具体的な活動事例は次のとおりとなっております。
誘客宣伝事業では、入域観光客の平準化対策の一環としての修学旅行やリピーターの誘客活動とともに「平成20年度ビジットおきなわ計画」の主要施策の(1)外国人観光客の誘客促進、(2)MICEの誘致促進、(3)リゾートウエディングの推進等に併せて離島地域観光活性化事業や年度末においては、観光緊急経済対策事業としてメディアを活用した「春季沖縄観光イベントプロモーション」を国内及び東アジア諸国で展開し、積極的な誘客活動に取り組んだ。
特に、修学旅行対策については、少子化や旅行費用の上限枠設定、新幹線整備網の進展等の影響などで、減少傾向を示しつつあり、その対応策として各種メディアを活用しての情報発信や首都圏、主要都市における「沖縄修学旅行説明会」の開催、担当者招聘事業としての「沖縄教育旅行研修会」を実施した。
また、初の取組みとして、NPO法人等との連携による首都圏での「沖縄バリアフリー修学旅行説明会」の開催や多様なニーズに応え得る修学旅行プログラムの作成にも取組んだ。
次に、リゾートウエディングの更なる飛躍を目指し、「沖縄リゾートウエディング連絡会」との連携で、首都圏での「相談フェア」や「引出物開発に向けたシンポジウム」を開催した。その結果、20年度目標の8,100組を超過達成する9,001組の実績を記録するなど好調な伸びを示した。
さらに、「ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)」と連携し、海外への航空機直行便が就航している台湾、韓国、中国、香港の重点地域での誘客プロモーションを引続き展開し、ツアー誘致促進に繋げたところである。
なかでも、韓国市場においては、県及びOCVB合同でのトップセールスと位置付けた「沖縄観光セミナーinソウル」を開催するとともに、香港市場では航空会社、旅行会社等へのトップセールスを実施した。
クルーズ船誘致については、アジア各国に加えて、欧米市場から送客される「フライアンドクルーズ」の誘致を目指し、主要クルーズ船会社へのセールス活動、商談会への参加を行った。
近年、欧米市場では、「沖縄観光」に対する注目度が向上していることを踏まえ、JNTO日本政府観光局と連携し、ダイビングや長寿、空手等にテーマを定めて、商談会・展示会への出展、旅行社及びマスコミの視察招聘事業を実施した。
コンベンション振興事業では、地域経済への波及効果の高いMICE誘致のため、JNTO日本政府観光局、日本コングレス・コンベンション・ビューロー(JCCB)などの主要コンベンション推進機関や沖縄県東京事務所国際会議誘致班、県内国際会議観光都市4市、県内コンベンション関連事業者・団体等との連携の下、30ヶ国が参加した「第15回カロテノイド国際会議」や23ヶ国参加の「電気工学技術国際会議」他33件に上る国際会議、73件の国内会議等に支援を行った。
これら歓迎支援の内容は、空港での歓迎式、レセプションへの芸能アトラクションの派遣、コングレスバッグの提供、式典へのミス沖縄の派遣などである。
さらに、国際会議やコンベンションの誘致に向けたキーパーソンの招聘事業や、企業インセンティブを積極的に誘致するため、東京、大阪で「MICE誘致セミナー」を開催するとともに、各種メディアを活用した国内外における関連情報の発信、宣伝活動を展開した。
次に、スポーツ分野においては、日本プロ野球1軍9球団・2軍6球団、韓国プロ野球3球団の受入支援やプロサッカー2チームキャンプ、大学、社会人チームの各種スポーツ合宿等の実施支援に併せて、誘致促進のための「スポーツコンベンション沖縄施設ガイド」を作成し、施設整備状況に係る情報提供を行うと同時に、スポーツ機関、団体等への働きかけを積極的に実施した。
また、本土復帰40周年記念事業に位置付けられた2012年10月開催の「第77回日本オープンゴルフ選手権大会」の本県開催の決定を受け、事務局の設置を行った。
これらの活動を通して「コンベンション・スポーツ・アイランド沖縄」の形成を目指す取組みの一環とした。
受入対策事業では、那覇空港観光案内所運営事業をはじめ、県民の観光意識の向上やホスピタリティ溢れる観光地づくりの啓発などを目的とした「めんそーれ沖縄県民運動推進事業」を活発に推進し、市町村、地域観光協会等との連携の下、全県的なクリーンアップ活動などに取組み、観光地や地域環境美化への啓蒙、良好な環境形成の促進に資するものとした。
観光人材の育成・確保対策としては、「観光人材育成センター」事業として、セミオーダー方式の「接遇、歴史・文化研修」や県産業振興基金を活用した「次世代リーダー研修」、「観光タクシー乗務員資格認定・登録制度」を継続実施した。
また、「地域限定通訳案内士試験対策セミナ-」や「ボランティア通訳セミナー」を実施し、通訳案内業の人材確保・育成に努めるとともに、普及・啓発事業の一環として、「沖縄県観光学習教材(第3版)」に加え「ワークブック(児童用・教師用)」を発行し、県内小学生を対象とした観光教育の促進に繋げ、低学年児童への本県観光及び郷土沖縄に関する理解を深める取組みとした。
次に、「うちなー観光教本(改訂版)」を継続発刊し、資格認定制度や通訳案内士試験の指定図書に位置づけるとともに、観光関連産業従事者の観光認識への理解度向上に資するものとした。
さらに、観光バリアフリーを目指す取組みの一環として、那覇空港国内線観光案内所に設置されている『しょうがい者・こうれい者観光案内所(運営主体:バリアフリーネットワーク会議)』の円滑なる運営の一助となるべく積極的支援を行った。
その他、「沖縄のまつりガイドブック」の発行や台風襲来時に那覇空港等で足止めを余儀なくされた観光客等の負担軽減を図るための諸対応、台風、宿泊情報提供システムの整備、地域や観光関係団体が主催する各種イベントへの補助を行い、観光客等への誘客促進に資する支援を実施した。
フィルムコミッション推進事業では、本県のPRに効果的な国内外の映画、TVドラマ、テレビCMなどに“沖縄”を継続的に取り上げてもらうため、映像作品の撮影誘致及び支援を積極的に行い、平成20年度は、「全国フィルム・コミッション連絡協議会」や県内広報宣伝会社や関係機関との密なる連携構築の下、国内外から訪れた53件に上る撮影隊に対し有効的な受入支援を行った。
また、初めての取組みとして、市町村等との連携を深める観点から受入態勢の整備に努め、宮古島での「フィルムオフィス講習会」を開催し、県下自治体における支援組織設立の促進を図るとともに、県内ロケ候補地を316ヵ所選定するとともに、沖縄ロケサポーターズの組織化にも取組み、現在では453名の登録者を数える。
更には、現在の支援活動に限定されたフィルムコミッションからの脱却を目指し、映像産業を将来的にはビジネス(コンテンツ)産業へと転化させる方向性を模索する一環として、国内外の映画祭に参加するとともに、特に、国際的映像作品市場である「香港フィルマート」においては、県内映像作品である「琉神マブヤー」他3作品を出展し、ビジネスチャンスへの挑戦も試みたところである。
次に、県内では初となる「沖縄国際映画祭」を県出身アーティスト、市町村、関係機関との連携の下に開催し、観客動員数も約11万人余に達するなど、成功裏に終了したことは今後の県内フィルムコミッション活動の明るい展望を切り拓いたものと確信をしている。
その他、フィルムコミッション事業の自主財源の確保にも積極的に取組み、WEBサイト・バナー広告、ロケ関連事業者(57社)の登録有料化など活動基盤の整備、拡充・強化に努めた。
観光情報センター運営事業では、沖縄観光のインターネット発信情報である「mahae plus(真南風プラス)」の運営及び沖縄観光情報ファイル「美ら島」の普及や隔月発行の観光情報紙「mahae press(マハエプレス)」を通して、観光客や旅行エージェント等へ魅力溢れる本県の観光資源や最新でタイムリーな観光情報の発信を行った。また、自主財源の確保策として、有料バナー広告にも引き続き取組み、活動基盤の強化・拡充を図った。
・真南風プラスアクセス件数 →2,586万ページビュー(対前年度比5%増)
・真南風プラス有料バナー広告料収入→475万円(対前年度比58%増)
次に、沖縄観光のWEBサイトのバージョンアップを図るため、ハングル語、中国語(簡体字、繁体字)、のサイトを新規に立ち上げるとともに、旅行・観光業界向けの「沖縄インバウンドネット」も開設し、本県観光の総合ポータルサイトとしての役割を果たす機能を備えたところである。
収益事業では、万国津梁館、沖縄コンベンションセンター、旧海軍司令部壕事業所の海軍壕公園部分の指定管理を県から受けているところである。
これら施設の運営に当たっては、内外の関係機関、団体との連携の下、営業体制をこれまで以上に強化し、施設稼働率のアップに努めた。
特に、万国津梁館、沖縄コンベンションセンターの運営については、県重点施策のMICE誘致の中核的受け皿施設であるとの認識から、国並びにJNTO日本政府観光局等との密なる連携の下に事業展開を図った。その成果は、県内の観光・コンベンション産業の育成・発展に資するものと考えている。
加えて、直営事業所である「旧海軍司令部壕」や「ブセナ海中公園」の利用促進については、旅行エージェント等関係機関とのタイアップを図りつつ、収益向上への積極的取組みを推進し、公益事業の財政基盤の強化に資しているところである。
沖縄自動車道利用促進事業では、観光客等の県内観光における移動の利便性に寄与するとともに、県内各観光地間のネットワーク化や特に、北部地域におけるアクセス条件の向上・改善を通して、本県観光の振興に資している。
なお、当該事業の主体は、国における公益法人改革の中で、補助金交付先が沖縄観光コンベンションビューローになっていることに関し、内閣府において「見直しが必要であるとの考え」で、平成20年度限りとなり、以降は、県企画部交通政策課に位置づけられたところである。