クロハゲワシ

突如目の前に現れたこの鳥は、世界でもっとも大きい猛禽の一種クロハゲワシ。遭遇したのは石垣島北部の牧場で、2000年3月のこと。もちろん八重山に分布するはずもないので、わが目を疑い、頭の中は混乱するばかり。ようやくカメラに手を伸ばしたものの、興奮のあまりピント合わせもままなりません。数枚シャッターを切ったところで、大空へ羽ばたいていきました。
クロハゲワシは中国大陸、ロシア、中央アジア、ヨーロッパ南部に分布します。この個体は移動の途中に方向を見失った迷鳥なのでしょう。
同じ猛禽類の渡り鳥であるサシバやアカハラダカは琉球列島に沿って大移動し、春と秋に沖縄の上空を通過します。島を伝って移動するのは鳥だけではありません。台風に飛ばされて徐々に分布を北上させる蝶もいます。また流木に付いた昆虫がたどり着いた島で繁栄することも。
そもそも数百万年前の氷河期には、琉球列島は台湾や中国大陸と陸続きでした。琉球列島が生物の多様性に富んでいるのは、島々が「架け橋」の役目を果たしているからにほかならないのです。 |