令和4年度 事業の実績報告

2023.06.27

総括

令和4年度の沖縄は、復帰50年を迎えた節目の年となっており、観光においても、コロナの感染拡大が徐々に落ち着きをみせ、行動制限のない状況が継続した。観光需要が回復したことや全国旅行支援の影響で、入域観光客数は677万4,600人(内、国内657万4,500人、海外20万100人)、対前年比106.9%増(350万300人増)となり、過去最高を記録した平成30年度に対し、67.7%水準まで回復した。特に外国人観光客においては、中国を除くアジア近隣諸国からの航空路線での順次復便ならびにクルーズ船運航が再開されたことにより、令和2年度以来3年ぶりの皆増となった。
そのような状況において、OCVBのプラットフォーム機能を最大限発揮させるため、令和4年度に引き続き「沖縄ツーリズム産業団体協議会」及び「沖縄県観光協会等協議会」の運営をとおして、複数地区における共通課題である人材確保、行政との連携、地域間連携、二次交通に関する課題について議論を重ね、観光産業の維持、回復に向けて県や国に対する要請や政策提言を行った。また、「おきなわ彩発見NEXT」の事務局業務の共同企業体に参画し、国、県および観光諸団体からの意見の集約や調整窓口、広報誘客業務等を担い、日本全国からの旅行需要及び旅行消費の喚起に努めた。
また新たな事業として、沖縄観光におけるSDGsの取組の推進および普及・啓発を図るべく、県内観光関連事業者のSDGsに関する取組を取りまとめ、専用WEBサイトを構築し、情報発信の強化に努めた。
 
国内観光客の誘致対策については、沖縄観光の魅力を継続的に発信するとともに、ニーズに応じたプロモーションやスポーツ関心層に特化したプロモーションおよび離島の情報発信に特化したプロモーションを展開した。大きな影響を受けている観光業界を回復基調に乗せるため、感染対策を講じた上で、誘客との両立を図りながら「防疫型観光」を実現させる目的で、各種プロモーション時において感染対策を盛り込んだ情報発信を徹底することで感染抑制と観光誘客の両立を図った。更に限られた入域観光客数で観光消費額を確保するために消費単価の向上を目指した「おきなわみらいへつなぐ旅(エシカルトラベル)・沖縄」のイメージ浸透プロモーションを昨年度に続き展開した。また、「レンタカーだけじゃない、おきなわ旅の楽しみ方」について発信し、人流の分散化・新たな魅力の発信を行った。
 
海外については、日本政府が段階的に水際対策を緩和したことにより、沖縄においても8月2日ティーウェイ航空により那覇―仁川便が就航し、約2年4ヶ月ぶりに国際線が再開したが、日韓両国におけるコロナ拡大の影響により8月16日以降再び運休となった。その後10月16日に那覇―台北(タイガーエア台湾)、那覇―香港(香港エクスプレス航空)2路線が復便したのを皮切りに、最終的には仁川含む3路線に12社が復便・新規就航した。
国際線再開後は、航空路線の安定運航を目的に、航空会社・旅行会社と連携したタイアッププロモーションを展開し、市場に沖縄旅行情報を露出拡散し、需要喚起に努めた。
各市場について、海外現地で開催される旅行博等に積極的に出展し、訪沖需要喚起・維持、商品造成、販売促進を図った。また各市場共通して渡航再開後優先的に沖縄を選択する可能性が高い層として「訪沖・訪日リピーター層」を主なターゲットに、WEB・SNS等情報発信を集中し行った。
 
クルーズについては、「質の高いクルーズ観光」推進のため、国内外クルーズ船社等のキーパーソンやメディアの招聘、船社等へのセールス活動等を継続的に展開する一方、安全・安心なクルーズの再開を目指し、県内各港湾及び地域との連携を強化し、持続可能な受入環境の整備に向けて取り組んだ。
邦船については、令和4年6月ぱしふぃっくびいなすの寄港により2年4ヶ月ぶりにクルーズ船受入が再開された。国際クルーズは令和5年3月8日ウェステルダム(外国船)の寄港で再開、3月末までに8隻・9本の寄港があったが、特に県とOCVBで数年に渡って誘致に取り組んで来たポナン社の沖縄エクスペディション(小型ラグジュアリー船で小規模離島を周遊)の運航が実現し、新たな沖縄クルーズの本格再開に向け、大きな一歩となった。
 
令和4年度のMICE誘致については、引き続きコロナの拡大が日本及び世界各地で増減を繰り返したが、重症化するケースも減少し、またコロナの影響で開催できなかった反動もあり、まずは日本国内においてMICE、特にインセンティブ旅行案件に関する問い合わせ及び開催件数が大幅に増え、「開催支援」対応件数は前年比5~6倍となった。また、対海外市場においても、韓国、台湾などからのインセンティブ案件も再開された。
こうした状況の中、誘致活動においては、各種商談会(オンライン含む)への参加のほか、県外での「セミナー商談会」や「沖縄MICEプロジェクト(旅行会社沖縄招聘ツアー・商談会)」、キーパーソン招聘などは、3年ぶりのリアル開催が実現でき、最新の沖縄MICEコンテンツ及び持続可能なMICE開催を促すよう工夫した。
「受入体制整備」については、本県におけるMICE振興のための産学官連携組織「沖縄MICEネットワーク」の運営や、MICE人材育成研修の実施、専門アドバイザー派遣などの取り組みを通じて、県内MICE関連事業者の課題解決や事業者間連携を図り、受入体制を強化した。
 
教育旅行については、コロナの感染拡大による措置期間の影響で中止又は近場への方面変更等により大きく減少を余儀なくされた。通常の学校フォローの他に、安全・安心な沖縄の医療・受入体制の周知を図るため、県内事業者の感染症対策一覧表を作成するとともに、実施を検討している学校に対し、現地の視察旅費を一部負担し、学校関係者自身の目で感染症対策を確認していただいた。また、学校や旅行社に対しオンライン勉強会を行うなど、沖縄修学旅行の実施促進を図った。
 
観光危機管理については、令和4年3月に改定された「第2次沖縄県観光危機管理計画」の周知や市町村向け観光危機管理計画の策定支援を行った。また、観光危機管理体制運用図上訓練では、地震・津波の状況を想定し、各フェーズ(初動・帰宅支援・復興)を想定した訓練を行った。また、災害発生時の情報収集・発信の重要性を踏まえ、通信手段を確保できるノベルティを制作・配付し、安全・安心に係る周知啓発に努めた。
 
広域連携DMOについては、観光地域づくりのための「地域連携」を柱とし、地域の稼ぐ力の向上や沖縄観光の課題解決に向けた取り組みを行った。新たな沖縄観光サービス創出支援事業(内閣府)では、コロナの感染拡大防止と観光促進の両立を図り、沖縄の自然・歴史・文化等を活かし、かつ新たな観光サービスとしてワーケーションや人・自然をコンテンツとした魅力的で高い付加価値を持つ観光サービスの開発を支援した。特に観光関連業界及び「産・学・官・金」と連携のもと、OCVBが運営を担う「沖縄リゾートワーケーション推進協議会」においては、県内におけるワーケーションに関する意見を集約し、ツーリズムEXPOジャパン及びリゾテックなどへの出展やWEBサイト等を通し、新たな滞在スタイルの提案を発信することで、多様な産業・地域への波及へと繋がる取組みを推進した。
また、観光地域マーケティング機能の強化に向けた取り組みの一つとして、沖縄県を訪れた来訪者の動態及び潜在的なニーズの調査・分析を行った。
 
OCVBにおける広報については、賛助会員サービスの一環として「OCVB News」のWEB配信を行い、入域観光客数の見通しや入域実績、国内外市場の動向分析やOCVB事業等を紹介した。またOCVB公式サイトにおいて組織情報、年間スケジュール、公募情報、活動報告を展開し、OCVB実施事業の透明化を図った。また、県内外・海外での観光催事や公式行事等において、本県の観光、物産等の PR・イメージアップを図るべく、沖縄観光親善大使「ミス沖縄」を派遣し、県内外に様々な沖縄観光の魅力を伝え、沖縄に対する興味関心を維持することに努めた。令和5年度は、観光情報発信の手法等について再考する時期にきたと考え、沖縄観光親善大使事業を一度休止する。
 
自主事業については、ブセナ海中公園において個人客の獲得を強化するべく、外部連携やWEBサイト等を活用した情報発信などの強化やサンゴの植え付けやタマンの放流等SDGsを意識した活動に力を入れた。コロナと軽石の影響があったものの需要の回復などにより、海中展望塔、グラスボートの売上が大きく増加し、令和3年度と比較して増収増益となった。
旧海軍司令部壕おいては、遺留品特別展の開催、展示資料の更新やモールス信号の音源再生など体験型プログラムを導入し新たな需要の促進を図った。特に教育旅行についてはオンライン講話や平和ガイドの実施、誘致案内資料の発信など継続的な取り組みが奏功し、前年を上回る322校/25,456人が来館し売り上げに大きく貢献することが出来た。
ちゅらチャリにおいては、サイクルツーリズムの促進について一定程度の役割を図れたことから、事業撤退を決定した。
 
組織運営については、慢性的な赤字体質を解消するべく「経営戦略プロジェクトチーム」を立ち上げ、部署横断的にプロジェクトを組み、収益部門の収入で公益部門の赤字を支えていた従来の収益構造の見直しやOCVBのあり方やあるべき姿について議論を重ねる等、経営健全化を図るための取組を行った。
 
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